前回までに、【音程】と表現力の中の【抑揚】についてアドバイスしてきましたが、今回も表現力の項目の一つである【しゃくり】の魅力とテクニックについてお話していきたいと思います。
▼前回までのおさらい
●音程テクニック
https://www.karaoke.ac/library/20190211-2
●抑揚のテクニック
https://www.karaoke.ac/library/score-up-technique
【しゃくり】って何?
【しゃくり】の言葉自体は、ほとんどの方がご存知かと思いますが、「具体的に何?」と聞かれると、漠然としたイメージで説明がうまく出来ない方も多いのではないでしょうか。
まず、簡単に説明すると「本来の音の高さよりも低い音を出してから本来の音の高さにズリ上げる(移動させる)歌唱法のこと」です。
歌い方のテクニックの1つだといえます。
【しゃくり】のメリットと精密採点の『総合得点』への影響力
では【しゃくり】を使うと、どんなメリットがあるのでしょうか。
実は【しゃくり】をきちんと使えると、歌が柔らかくなめらかになり、プロっぽさを出すことがでます。つまり歌が(上手く聴こえる!)ということです。
また、精密採点を利用される方にとっては気になる『総合得点』への影響ですが、1曲の中で目標とする【しゃくり】20回以上行うと、【表現力】が約5点アップすると言われています。
これは、概算ですが『総合得点』としては、0.25~1点程度アップすることになります。
以前、お話した【音程】や【抑揚】に比べると、総合得点への影響力は少ないのですが、『総合得点』が100点まであと一歩という方には、非常に重要となる項目と言えるでしょう。
【しゃくり】の出し方、覚え方。
まず、B'z「ultra soul」をご存知でしょうか?
この曲のサビの部分「ゆめじゃない あれやこれも」という歌詞の「ゆ」に注目してみてください!
私は、「ゆ」の前に「ん」を入れるようなイメージで「ん⤴ゆ~め~じゃない」と歌います。
この「ん」の部分は、本来より低い音の位置で歌いはじめ、「ゆ」で本来の音に合わせるのです。
稲葉浩志さんも似たような歌い方をしていますので、イメージがわかない方は、実際に聴いてみましょう。
他にも、Youtubeなどの動画サイトで【しゃくり】【テクニック】などを検索してみると、わかりやすく歌っている方もいますので、そういった動画サイトを参考にしてみるのも良いかもしれませんね。
次に、(なんとなくイメージがわかった!)という方でも、実際に精密採点では拾ってもらえないケースがあります。
そんな時は、まず【しゃくり】を拾いやすい曲を選びましょう。
特にオススメの曲は以下の通りです。
●男性の曲
HOWEVER/GLAY
ゼロ/BUMP OF CHICKEN
瞳の住人/L’Arc~en~Ciel
Love is…/河村隆一
SAVIOR OF SONG(feat. MY FIRST STORY)/ナノ
●女性の曲
誰かの願いが叶うころ/宇多田ヒカル
花の唄/Aimer
真夏のフォトグラフ/azusa
Brave Song/多田葵
Someday of my life/高坂穂乃果
これはほんの一例ですが、他にも皆さんの好きな曲で【しゃくり】が比較的多く出せる曲を見つけたら、その曲を繰り返し歌うことで【しゃくり】のテクニックを鍛えながら、拾われやすい歌い方(機械のクセ)を身に着けましょう。
これらを練習しても「なかなか出ない!」という方は、簡単に出せるとっておきの方法を最後に教えます!
それは、曲の中で「ド・ミ・ソ」のように、メロディーの音が上がっていく部分を見つけたら、少し遅れ気味に歌うことです。
すると、ひとつ前の音が低い音だったため、機械が低い音から本来の高さにズリ上げた=【しゃくり】を行ったと判断するわけです。これが、いわゆる(機械のクセ)ですね。
但し、この方法を使いすぎると、評価の【リズム】でかなりタメ気味となってしまうので、ほどほどに行ってください。
まとめ・メッセージ
今回は【しゃくり】について色々と説明してきましたが、最後に一つだけ注意点。
【しゃくり】を完璧にマスターしたからと、『あくまでやり過ぎは禁物!』です。
やり過ぎてクセが強くなっていくと、音程が不安定になり『精密採点』で減点の対象となるだけではなく、聴いている側もそのクセが不快に感じたり、ただカッコつけているように思われたりしてしまいます。
あくまで(機械的にではなく、柔らかく滑らかに歌おう)そんな気持ちで肩の力を抜いて自然体を心がけて歌いましょう。
それでも不安な方は、自分の歌声を録音してみるのも良いかもしれませんね。
●レッスンのご予約:https://www.karaoke.ac/WTE/mypage.cgi?m=prfdtlfrm&prof_id=24